Q. プロジェクトにかかった期間とどのように進んだのかを教えてください。
大井様: プロジェクト自体は2019年10月から始め、2021年12月に終わりました。
USS 梶山: 実はコロナ禍で工程が3カ月ほど中断しました。しかし、創業130年に合わせられるよう決められた時間でやりたかったので、どうすればスケジュール通りに進められるかをチーム内でかなり検討しました。
大井様: 設計部門では2019年夏頃から部門での勉強を兼ねて、独自にオフィス改革を始めていました。同じ時期に、不動産事業や最新オフィスビルの提案を多く行う開発事業本部からも、勉強を兼ねて自部門が使用するフロアのオフィス改革を先行して検討をしたいとの要望が上がっており、その後、創業130年を機に品川事務所全体に実施しようと検討を始めました。
開発事業本部のフロアを先行して実施したことで、オフィス環境が変わることに不安を感じていた人にも、実際に改革した部門がどう活用しているか、「意外と大丈夫だね」というシーンを見てもらうことができました。
三輪様: 開発事業本部はオフィス内部を含めたビル全体の建築計画の提案を行っており、自分たちが働くならどのようなオフィスに改革するかを検討しました。ちょうどABWやグループアドレスなど新しいオフィスの使い方が見え始めたくらいの時期でしたので、会社としてどういうオフィスがベストなのかを若手メンバーでチームを組んで、検討を進めました。
開発事業本部のフロアには、大きく3つのコンセプトがあります。 1つ目は、ペーパーレス・ストックレスです。不動産に関する資料や過去の書類などが多く残っていて、ペーパーレス化とデータでの蓄積を第一に考えましたね。2つ目は、働き方のカルチャーを変えることで会議や空間を効率化すること。3つ目は煩雑化しているプリンタや備品等をコンパクトにまとめることを主に考えました。そのためにはどのようなレイアウトが最適で、どのように運用するのが良いのかも含め、ウチダシステムズさんと相談しながら進めました。
開発事業本部 開発推進第三部 主任 三輪 南美子 様
USS 尾花: オフィス改革の実施フロアは計22フロアありましたので、まずはガイドラインになるものを定めたうえで、オフィスの骨格を決め、それに対してどのようにプランしていくかを考えました。 開発事業本部さんが最初のプランニングだったため、我々も手探りの部分もありましたが、ここが基本となって全フロアの方針が決まっていったと感じています。
大井様: フロアごとにたくさんの要求がありましたが、コスト面の問題もあり、変えられる部分は変え、変えられない部分は変えないと予め決めて作業を進めました。
三輪様: ウチダシステムズさんと改革を進めることが決まり、進め方や、何から検討するのかといった基本的なところから教えていただきました。 一方で、我々が進めていたワークショップや、同じ部門や他部門の方の意見も取り入れながら方向性を見極め、どういうところを採用したらよいのかもご指導いただきました。
長岡様: ワークショップは何度も行い、ウチダシステムズさんにもご参加いただきました。開発事業本部の将来像、在り方を考えるにあたり、デザインシンキングやアンケートなどで、少しずつ内容を詰めていきました。
USS 尾花: 開発事業本部さんは若手の有志を募り、改革チームをつくって進めていらっしゃいましたよね。話し合いをよくされていて、「こういう働き方や使い方をしたい」というオフィスの全体像、目指す方向性のコンセプトシートをいただき、それに対して事例を示しながら進められたので、やりやすかったですね。
ウチダシステムズ 尾花
Q. プロジェクト初頭でコロナ禍になり、5つ目のコンセプトとしてコロナ対策を追加したようですが、何か特別なことをされたのでしょうか。
大井様: 品川事務所は1階層が東西の2フロアに大きく分かれており、東西それぞれが約1,000㎡のとても広い空間となっています。プロジェクト当初から、ウチダシステムズ様のご提案により3.6m×3.6mのグリッドに細分化していました。そのグリッドの中心に什器を置くことにより、強制的に什器の周りに通路が設けられたことで、人と人、机と机に離隔を取ることができ、結果的にそれがコロナ対策に繋がりました。
また、品川事務所の空調システムが床下から天上へ吹き上げる方式なのですが、以前は棚や机で穴が塞がれたり、寒いからといって吹き出し口を閉じられてしまうことがありました。 今回のグリッド方式では、吹き出し口を通路やグリッドの境目に置くことで、空調システムを機能し易くしました。人が歩くことで空気の流れを生み出し、空気の淀みを無くして換気が促される形になったので、結果的にはそれが感染対策になったと思います。
USS 田村: コロナ禍を意識して新しいレイアウトを考えたわけではありませんが、このオフィス改革で空間にゆとりができました。我々が考えてきたことが感染症対策にもなったことは大きな成果だったのではないかと思います。
ウチダシステムズ 田村